2015年05月20日
プロレスドキュメンタリーの魅力を初心者向けに書きました!『愛プロレス博2015~光~』その2
前回、女子高生レスラーのデビュー戦にずいぶんと感動した話を書きました。
なぜだかカツイエ史上初のいいね数300超えとびっくりな感じです。
しかし、もう一つ心に残ったのは、メインの下記試合です。
石田慎也&岩本煌史(スポルティーバエンターテイメント) VS 大谷晋二郎(プロレスリングZERO1)&彰人(DDTプロレスリング)
なにがすごいって、投げられても投げられても立ち上がって向かっていくデビューして3年の岩本の姿です。
プロレスを何年も見てますが、あんなの観たことない!!
そして大谷選手の人間のデカさにも感動。
プロレスドキュメンタリーという分野の楽しみ方は単一軸ではなく、複数軸で楽しむものだということにも気づきました。
前回は同じ女性としての共感を書きましたが、今回は王道の「男同士の戦い」について思ったことを書きます。
初心者さんへの試合観戦のコツ
必要ないかもしれませんが、初心者さんへプロレスのざっくりした見方をお伝えします。
→十分にダメージを与えたと思ったタイミングで大技で大幅なダメージを与え3カウント取れば勝ち。
という、なんとなくの指標で私は見ています。
つまり、何のために技をかけたり、張り手(意地の見せ合いを表現)を途中経過で挟むかというと、ダメージを与え合っている。
いきなり大技かけにいっても、自分の体力が消耗するだけで無駄足に終わるので、確実に決めるための行動です。
そう思えば、途中経過で「あれは一体何なの?なんですぐに勝ちに持っていかないの?」という疑問は払拭できると思います。
余談ですが「相手の技を受けて表現する」という、受け技の美しさや表現力もプロレスの魅力です。
プロレスをただの勝ち負けという軸で見ると「なんだかよくわからない」ものになりますし、ストーリーだけでみると「台本どおり」という感じで冷めます。
大事なのは勝ち負けという勝負軸プラス、いくつも評価軸を持つことがプロレスを楽しむコツであり、各団体の差別化をチェックするポイントだったりします。
プロレスは読み手のリテラシーに寄るものではありますが、リテラシーというよりフォーマットで、あとは数をこなす、情報を得るという面倒くさいものです。でもこの面倒があるからこそ、唯一無二のおもしろみを感じることができると私は思っています。
投げられてからの3カウントまでの過程が見どころ
で、話を戻すと
この試合は、キャリア2年目の岩本選手と大谷選手へ立ち向かう姿にありました。
大谷選手はキャリア20年以上のベテランで181センチ、107キロ。岩本選手は3年目の175センチ、90キロ。
体格差は十分に感じられます。
スポルティーバ エンターテイメント公式ホームページ -Sportiva Entertainment- スポルティーバエンターテイメント 岩本煌史
大谷晋二郎のオフィシャルブログ 【炎の刃 大谷晋二郎】 powered by ZERO1
そんな大谷選手に何度となくジャーマンスープレックスなど、マットにたたきつけられる技をくらいつづける岩本選手。
それがだいたい15分~20分も続けば、そろそろ有利になっている方の選手がフィニッシュへ。受け側も大技を2カウントで返してもせいぜい2~3回、だいたい3回めには3カウント入って終了という流れが多いのが一般的です。
しかし、そんな予定調和などないのが、このプロレスドキュメント。
何回投げられたかわからないのに、岩本選手は何度も何度も立ち上がり、気力だけで向かっていく姿を見せてくれたのです。
「岩本ー!!立て!!」
たぶん、何回も立ち上がる岩本選手に会場中がそう叫んでいたのを覚えています。
ここからは勝手な私の想像ですが。
立ち上がる岩本選手に、なんだか自分が重なる人もいたのではないでしょうか。
だから、何回でも立ち上がって欲しいと思う観客の気持ちがこの言葉に凝縮されていたのではないかと思います。
岩本選手は、大谷選手に幾度となく投げられても、そのたびに立ち上がり、技をかけに行きます。
その回数は4~5回あった気がします。
最後は大谷選手の投げっぱなしドラゴンスープレックスでフィニッシュホールド。
さすがにこれは立ち上がることができませんでした。
たくさんプロレスを見ましたが、フィニッシュホールドまでの数分、こんなに心が動いたことはありません。
負けている上で、どこまで向かい続けることができるのか。
それはキャリア3年目の岩本選手にしかできない表現なんだと思いました。
たぶん20分以上も投げられ続けてるのに、本当に何度も何度も手を抜くこと無く、持てる力を100%ぶつけている。
そういうがむしゃらさな戦いは、なかなか見ることができません。
本当に貴重ですよ。
たこやきマシンさんの観戦記がとにかく詳しいので、こちらもぜひ御覧ください!!
大谷選手の懐の大きさにも感動
その感動の試合後、大谷選手は2人の若手選手に非常に優しい声で語りかけました。
「名古屋の選手がやられてもやられても、立ちあがるファイトを心から尊敬してます。ありがとうございます」と、嘘偽りのない言葉と口調で話すんです。
キャリアどんだけ違うんだってカンジですよね。
どうやっても先輩風吹かせて上から目線になってもおかしくないじゃないですか。
キャリアの長さは人を偉そうにしてしまうものですが、それがないっていうのがもう感動。
なのに、一人のレスラーとして年齢もキャリアも関係なく、その選手に敬意を表することができるなんて。
プロレスの神様が降ってきたようでプロレスの教科書シリーズ517ページも発表されました。
「諦めない男の姿が人を勇気づけ、感動させる」(正確じゃないかもですが)
こういうひたむきさ、がむしゃらさってもはやファンタジーの領域くらい、めったに見ない気がするんです。
でも、やっぱり、こういう姿を見るとすごくすごく感動する。
関係ないけど、なんで柴田勝家という武将を推しているかというと、この「純粋でがむしゃら」というイメージがあるからなのかもしれません。結果的にその生き方に強いシンパシーを感じているのではないかと。結局「純粋に信じた道をまっすぐ追う」人たちが好きだし、自分もそうありたいと思っています。
プロレスドキュメンタリーの魅力はすべてが真実であること
ドキュメンタリーだからそりゃ、そうだろうってとこは置いといて。
最初にプロレスはさまざまな評価軸の複合エンターテイメントであると思っているのです。
「勝ち負け」という基本の軸を元に、「演出」とか「強さ」とか「おもしろさ」とかいろいろ追加されるのですが、ドキュメンタリーはすべてが「心から出た言葉や行動」が魅力で、嘘偽りが一切ないことです。
すべてが真実という座標軸を持って、プロレスを楽しめるのが「愛プロレス博」であり、スポールティーバの日々の興行なのではないかと思います。
というわけで、ドキュメンタリーはダイジェストがないので、ちょこちょこ見に行かないとどのドラマを楽しめません。
なので、また水プロやら土プロやらを見に、スポールティーバに行こうと思います。
スポルティーバ エンターテイメント公式ホームページ -Sportiva Entertainment-